2010年 09月 16日
ノムラという名の犬。 |
大学の馬術部厩舎で生を過ごした犬です。
初めて名前を聞いたときには、なんだってそんな名前を、と思ったものだけど、彼女の名前はノムラヨシオというのでした。
ナウなヤングな方々にはわからないかもしれませんが、昔は「たのきんトリオ」という「アイドル御三家」がいて、そのうちの一人の名前がつけられたのでした。「地味でもいい、人に愛されて堅実に生きて欲しい」という願いが込められていたそうです。
賢い賢い犬で、馬が逃げれば必ず吠えて知らせ、余所者と身内を完璧に分けていました(毎年口頭&張り紙で注意してんのに噛まれる人がいましたよ)。入部して最初にすべきことの筆頭が、「ノムに認めてもらうこと」だったといっても、過言ではありません。
第一、群れの要員が3年半くらいでくるくる変わる環境で、いわば厩舎に常駐し続けていたのは彼女だけなので、ノムが一番偉く、彼女が主。おそらくそう思っていた部員が大半のはずです。
そうは言いながら、幼少期はある
見方を転じてみれば、誰を信頼してよくて、誰は警戒しなくちゃいけないのか、やってくる人間が多い中で自分で見極めて、そして、誰かに完全に自分を委ねることもできないまま、厩舎を守っていた、とも言えるのです。
そんなノムがこの世を去って、今日で(確か)4年が経ちます。今日、というのは、私がそう決めただけで、正確なことはわかりません。ある日散歩中に離れ(リードで散歩していたはずですが)、やがて亡くなったことが知らされただけ、遺体も戻してもらえませんでした。
たまたまこの時期、私はノム(と相棒のシロ)が気になって通っていて、だからノムがいなくなった、と聞いてから、探して歩きました。田舎のキャンパスは広い。犬ならば隙間から抜け出してどこへでも、山でも行ける。でもノムは、そんなに長く厩舎を空けたことなんてなかったのです。
ノムが発見されたと聞かされた場所は、散歩の度に連れて行かれた場所で、だからそこをもっと探せばよかったと、心から悔いたものでした。確かにその場所は人間にはアプローチしにくかった(散歩で行ったのはその手前)けれど、でも、と。
残暑が厳しく長い年で、どんなに暑くて、苦しくて、辛かったろうと、ずっと思っていました。喉も渇いていただろう、何より、どうして見つけてあげられなかったのか、と。ノムが苦しんでいたであろうときに、私は教会の一泊修養会で笑っていた・・・そんなこと、だからなんだということかもしれないけれど、そのことも、申し訳なかったのでした。
と、私の後悔を綿々と書き綴りたいわけではなく。
賢くて、頑張り抜いた、一匹の犬がいた、ということを、おぼえていただけたらと思います。
「ありがとうを伝えることで魂はいくばくか慰めを得る」と教えていただきました。ごめんなさい、がどうしても先に立ってしまうなら、それを伝えて、でもちゃんと「ありがとう」で包んで送ること。
魂は、体がこの世を去っても存在し続けます。これは、そう信じているのではなく、事実です。
どうか、彼女の生を讃えて、魂が安らかであるように、愛の光に包まれるように、祈ってやっていただけませんか。もし祈るということが無理でも、こういう子がいたのね、と、少しの間でも、心に留めてやっていただけると有難く思います。宜しくお願いします。
オレンジの花が欲しいな、と思っていたら、昨夜オレンジのガーベラと、菊があしらわれたミニブーケに出会いました。
ノムにはたくさんたくさんの、ありがとうを送ります。
by blessedcoco
| 2010-09-16 17:43
| 日々の出来事