2013年 07月 29日
耳が聞こえなくとも。 |
Sleeping Beauty(眠れる森の美女)ならぬ、Sleeping Black Beauty(眠れる黒美犬)。
こちらの記事でもご紹介しましたが、このとき、すぐ傍で電気工事をしていたにも関わらずブラックは熟睡。
幾度か耳血腫形跡があり、耳はカリフラワー状態(見た目わかんないですけど。たれ耳で長毛だし)。そのためか、音に対する反応は極めて低くなっています。耳掃除は5日に1度行っていますが、カリフラワーもこもこ状態甚だしい左耳はすごくやりにくいですし。
音に対する反応がほとんどない、という状態にあって(のくせ私のくしゃみで飛び起きたりするんですけどそれは一体なぜなのさ~)、コミュニケーション上問題はないのか?とは実は一度頭を過ぎりました。
そんなときに出会った記事、それが世界的に有名でもはや説明も不要でありましょう、シーザー・ミランのサイト、Cesar's Way(
(私の和訳でお届けします)
注:サイト運営側から翻訳・掲載の許可はいただいておりますが、あくまでこの和訳は「参考訳」です、ご留意ください。また、転載はお控えいただけると有難いです。
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耳の聞こえない犬
バランスのとれた犬は鼻、目、それから耳を使って物事を感じとる。一方で我僕たち人間は犬のトレーニングの際音に頼りがちだ。では、犬の耳が聞こえない場合は?
犬はまず鼻、次いで目、それから耳を使って物事を感じとる。一方で僕たち人間はまず音(耳)、景色(目)それから匂い(鼻)を通じて物事を感じとる。人は新しい犬を迎えるとまず名前をつけるけれど、ここで犬の「個性」に基づいた名前をつけがちで、結果、犬を迎えたその日から、犬とのコミュニケーションそして関わり方を間違ってしまう。
耳が聞こえない犬を迎えるということは、その犬を犬という動物あるがままの存在としてコミュニケーションをとるまたとない機会を与えられるということだ。犬のコミュニケーションはエネルギーとボディランゲージを通じて行われる。僕が繰り返し伝えてきたことだけど、人は欲しい犬を迎えるのではなく、自分に必要な犬を迎えるのだ。誰かに選ばれ迎えられた犬が、その人の人生に登場し、人々が最も必要とする教えを与えてきたケースに、僕は今まで幾度も遭遇してきた。
では、耳の聞こえない犬が与えることができる教えとはなんだろう?多くの人が「母なる自然」とのかかわりなく生きており、忍耐力を失ってしまっている。また、自身の人生とも切り離されて生きている。注意深く物事を感じ取り、精神的に調和のとれた状態ではなくなっている。耳の聞こえない犬といることで、あなたが犬に求めるのと同じように、あなた自身が今を生きること、エネルギーを感じること、ちょっとしたサインを読み取ること、自分自身それからまわりの環境と調和のとれた状態でいることが極めて重要になってくる。あなたがしなくてはならないこと、それは、犬があなたを、保護と方向性を与えるリーダーとして信頼する、という形で犬との絆を結ぶことだ。そうすれば、犬は道路を渡るときにはあなたを見て安全を確保しようとするし、角を曲がるときにはあなたを見てどちらに行くか知ろうとする。
僕はいつも犬のトレーニングについて質問を受ける。そこで僕は最新の著書の中で実際使われているさまざまな方法とトレーニングについて紹介した。また、トレーニングとバランスの違いについても語っている。このふたつは全く同じではないから。同じであるのは、あなたにとっても最も効果的かつやりやすい方法を選ぶ必要があるということ。耳の聞こえない犬にクリッカー・トレーニングはどう考えても向かないだろう。ただ、音を使うことであなた自身が言葉のもつエネルギーを感じ取ることができ、結果、そのエネルギーを犬に伝えることができるといえる。
これは、時間、根気、一貫性が求められることだけど、僕は嬉しいチャンスだととらえている。僕は滅多に犬に対して言葉を使わない。「シッ!」という音は使うけれど、大体これだけ。犬に座れ、伏せ、下がれ、来い、といった動作を求める際に僕が使うのは手によるサイン、エネルギー、そして何よりボディランゲージだ。サインを出す必要すらないこともある。僕が何をして欲しいかを頭の中に描き、犬がそれに応えるからだ。犬はエネルギーを感知する。勿論、これは一朝一夕で成るものではないけれど、練習を重ねることで実現可能だ。但し、絶対に必要なのはあなたが落ち着きかつ毅然としていること、あなた自身の感情と調和していること、できると自信をもつこと、信頼すること。そうすれば犬はあなたへの信頼だけでなく、尊敬と誠実さをもって応えてくれるだろう。
心に留めておいてもらいたいのは、犬に対してかわいそうだと思っても何の益にもならないということ。それどころか、事実として、バランスのとれた犬になるのを妨げる可能性さえある。犬に大事なのは愛の前にまずリーダーシップなのだ。まず運動、次に規律その次に愛情、これが肝心。つまり、あなたが犬をよしよしと撫でてよいのは、耳が聞こえなくてかわいそうにと同情してのことではなく、犬が落ち着きのあるバランスのとれた行動をみせたことに対してだ。犬にとって褒めて撫でることと同情から撫でることの違いはわからないからだ。このやり方を一貫して続けることは、肉体的な問題にかかわらず、バランスのとれた心の状態と、落ち着きかつ従順な状態にあなたの犬を保つ方法なのだ。
原文(英語)はこちらから→☆
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実際、シーザー・ミランが"I rehabilitate dogs, I train people(犬をリハビリさせ、人をトレーニングする)"でおなじみ、自身のテレビ番組「Dog Whisperer(ドッグ・ウィスパラー)」、日本では「ザ・カリスマドッグトレーナー ~犬のきもち、わかります~」のエピソードで耳の聞こえない犬のリハビリを行うところを見ても、何らいつもと変わりがありませんでした。確かに、シーザーさん、犬にあれしてこれして、って言葉で伝えてないですよね。
で、私の実感はというと、「確かにね」ということ。耳が聞こえなくて困ることはありません。そりゃ、声をかけて注意を喚起する、ということは無理なのですが、大体こちらの動向は感じているし、どこかへ飛び出していくわけでもないから、行って、ちょいちょいと触ればすむことです。
ブラックの場合、先天的に聴覚を失ったわけでもないし、今も完全に聞こえないわけではないのですが、音に頼らなくともコミュニケーション上問題はない、というのは確かなことです。
そして、上記の記事によれば、人間がえてして頼りがちな音に頼ることができない関係だからこそ、味わえる醍醐味があるということで、私はにんまりしてしまいます。
ところで、私がシーザー・ミランを知ったのは、あがさんのおかげでした。以前から名前は知っていたのだけれど、その時読んだ記事は批判的なもので(勿論書いたのはあがさんに非ず)、そうなんだ、と思ってそのままにしていました。そのまま今日に至っていたら、人生の大損害でしたよ。あがさん、ありがとうございます~☆
犬の聴力とコミュニケーションに関する記事をもうひとつ。
あまり、サイトの構造をまだ理解していないのですが、シーザーさんと飼い犬との関係に悩む方の一問一答があるようですね~。
(尚、本和訳も参考訳である点ご了承ください。また、転載はお控えいただけますようお願いいたします)。
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耳が聞こえなくなった犬が一層吠え立てるようになりました
シーザーさん、
我が家(両親と私)にはシャドウという13歳のスタンダードプードルがいます。いつでもおりこうにしてますし、仔犬の頃トレーニングも受けました。散歩のときも問題はなく、お座り、静かに、といったコマンドにもよく従います。ただ、歳とともに聴覚を失い、言葉でのコマンドの効力も薄れてきています。
吠え声も大きくなり、食べ物をもらうか撫でてもらうまでキッチンの入り口で吠えるようになりました。こんなことは最近までありませんでした。夕食時や電話の間中吠え続けるので落ち着くことができません。シャドウを落ち着かせる方法はなにかありませんか?また、耳が聞こえない彼女に使える合図はありませんか?
よろしくお願いします
ジェニファー・サンティシ
ジェニファーさん、
方法が違うだけで、シャドウは以前からそうした要求をしていたのではないでしょうか。ただキッチンへ行って食べ物をねだる行為、これも状況をコントロールする方法です。シャドウは今は耳が聞こえなくなり、彼女の行為がより激しくなったように思えます。
耳の聞こえない犬とのコミュニケーションは実際のところ、聴覚に問題がない犬とのコミュニケーションよりたやすいものです。耳の聞こえない犬は、聞こえる犬に比べより敏感にエネルギーを感じとりますし、ボディランゲージに注意します。耳の聞こえない犬のケースに今まで数多く携わってきましたが、聴覚に問題がない犬より聞こえない犬ではより早く成果が出ています。ボディランゲージを見ることができない盲目の方の犬とのコミュニケーション方法や、聾唖の方の人とのコミュニケーション方法をよくご覧になってみてください。ひとたび、この、シンプルな理解に至ることができれば、要はバイブレーションまたはエネルギーの問題なのだとおわかりいただけるでしょう。
心に留めておいていただきたいのは、犬は鼻、目それから耳で物事を感じます。コミュニケーションには犬の鼻と目を使わせてください。私たち人間は声によるコマンドに便りがちですが、これは犬とのコミュニケーション方法として最善とはいえません。匂いで犬の注意を喚起し、ボディーランゲージによって何をしてほしいかを伝えることです。
また、犬の耳が聞こえないことをかわいそうだとか、悲しいと思わないでください。そうした思いは、犬にとっては弱いエネルギーとして受け取られるため、犬とのコミュニケーション上の妨げとなります。ここでシャドウは、あなたが感情的になっている理由を理解する代わりに、あなたが不安定なエネルギーを伝えてきていると解釈し、あなたのリーダーシップに疑問が投げかけられることになります。シャドウの助けになるためには、あなた自身が落ち着いた、そして毅然としたエネルギーを保たねばなりません。
バランスを忘れずに!
シーザー・ミラン
原文(英語)はこちら→☆
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シーザーさんは常にエネルギーのことを口にされます。犬を連れて歩いているときも、「犬を見てないですよ」とおっしゃることもあり、そんなときは「エネルギーを感じとっているんです」と。
言葉によるコミュニケーションを獲得したことは多くの益をもたらしたことは確かですが、言葉以外の「伝わるもの」(エネルギーとかバイブレーションとか)については言葉をもたない動物よりも、感じ取るには少し練習が必要になったのかもしれません。
が、絶対に取り戻せるってことでもあるのだと思います。だって、番組を見ていると、ああなるほどって依頼主さんたちが変わり、犬の振る舞いも変わるんですよ。「今までシーザーさんの番組を毎回観ていた」という方も、実際直接指導を受ける(なにしろシーザーさんが訓練するのは人で、犬に何をするかというと、リハビリ)ことで、実践に至る理解を得られたりしているという印象があります。
by blessedcoco
| 2013-07-29 14:53
| シーザー・ミラン