2013年 02月 25日
待っててくれて、ありがとう。 |
まどろみ王子。
「おやすみ・・・」
王子が旅立って、およそ1年。
王子のことを書こうと思ってiPhoneのライブラリから写真を探そうとしたら・・・どこまで戻らなあかんねん!
王子が旅立った後、申し訳ないくらいにしっかりしていた私ですが、唯一(なのか)呆然としたのは、写真を整理しようとしたとき。
もう一枚だって増えることはない。そのことが、ちと辛かったですねえ。
しかして、その後も時は流れ、日々の歩みがあり・・・というのが、その後撮った写真たちが物語ることで、犬たち猫たちの写真もしっかり増えており、生きている間はしっかり生きていくのだ、と思った次第。
さて。
王子は体がまだこの世にあったころ、そして私が実家に出戻ってきた後、しばしば出迎えをしてくれていました。
母が「帰ってきたらすぐご飯を食べさせたい、それもできたてを(あ、人間にね)」という性格なので、帰宅時間はしっかり知らせていた私。
もうそろそろ、という時間になると母は王子に声をかけていたんです。もうすぐおねえちゃん帰ってくるからね。
そうすると王子は、定位置にぴしっと座って待っていた。山茶花の木の間から。
ちょうどこの、鼻先あたりにぴしりと座るのが、定位置。
これはちょっと場面が違うけれど、冬は一張羅のコートを着ていました。
丁度、我が家は坂になっていて、水平にするために下は石垣が積んであり、王子は道行く人を見るときは、下を向くかっこうになります。そして、駅は左手、坂の下にあるので、王子は植え込みの間に座って、左を向いて私を待ち、近づくと鉄柵からずぼりと首を引っこ抜いて尻尾をぱたぱたと振ってくれていました。
そんな風景を思い出したのは、ある友人がしてくれた、コミュニケーションのおかげ。
彼女が何を受け取ってくれたのか、教えていただいたとき、私はメールを見ながら顎が外れそうだったし、腰は抜けるかと思いました。
実は彼女は私の家にこっそり来たことがあるのではと思うくらいに、正確な描写。
そうそう!そうなんですよ!と首がもげそうなくらいうなづきつつ・・・涙が出ました。
王子は、待っていてくれて、出迎えてくれたことは事実として知っているし、喜んでくれていたのも、挙動からわかっていました。
でも、ほんとうに、私のことを今か今かと待ってくれ、そして、私が(おそらく)「ただいま」を言ったとき、その前に、顔が、姿が見えたとき、すごくすごく嬉しくて、幸せだと感じてくれていたことが、行間から、その、詳細な描写の中から、浮き上がってきて、そんなにも心を弾ませて待っていてくれたことを、初めて実感として知って、すごくすごく幸せで、ありがたかったんです。
彼女の教えてくれたその光景は、事実として私は知っていた。でも、「王子の側から」見たことは、それまでなくて、そしてこのコミュニケーションで初めて、私の心が、王子の心と重なって、「感じる」ことができたのでした。
なんでもない、いつものこと。
そんな日々の繰り返しを、飽きることなく、毎回毎回、心躍らせてくれた、存在があったこと。
私も、駅から家までは徒歩3分程度なのに、王子に早く会いたくて、走って帰って母に「なにを走って帰ることがあるの」といわれたこともあったけれど。
王子も、そんな気持ちでいてくれたんですね。
純粋でまっすぐな、愛。
これは、きっと全ての犬たちが、持っているクオリティ。
涙が出たのは、その日々がかえらないからじゃないんです。
王子の気持ちが、私の中に入ってきて、その、大きくて深くて純粋な愛が、あまりにあたたかくて、幸せで、出た涙です。
この気持ちを、忘れずにいます。
そして、全ての動物、具体的には犬たちに、持たせてあげたいです。
待たせたいのではなく、うわあ、帰ってきたぁ、と、会えたことが嬉しいという存在を持てる世の中にしたいということ。
待っていたその愛を、必ず私たち人間が、全身で受け止める、ありかたを実現すること。
すごくすごく、大きなことを、教えていただきました。
王子、待っててくれたんだね。
心からありがとう。
そして、そのことを、伝えてくれてありがとう。
それから、こんなに大事で、そこまではわかりきれていなかったことを、伝えてくれた友人へ。
ありがとうございます。
私ったら、色んな角度で(王子という仔がいたことも、こんなメッセージを受け止めて、しっかり丸っと教えてくれる友人がいることも)、幸せ者~☆
by blessedcoco
| 2013-02-25 21:52
| 王子